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よりそうeネット

地域で輝く女性たち

宮城県丸森町

人と人、人と自然とが調和するまちで
めざすのは、心トキメクものづくり

マメムギモリノナカ代表 山下久美さん

みなさんは「ミツロウラップ」をご存知ですか?
ミツロウラップは、コットン布に、ハチミツの副産物であるミツロウを染み込ませて作るフードラップのことで、洗って何度も繰り返し使えることからエコな商品として注目され始めています。そんなミツロウラップを丸森町で製造・販売しているのが、「マメムギモリノナカ」代表の山下久美さんです。仙台でセラピストとして活躍していた山下さんがなぜミツロウラップと出会ったのか、ものづくりや地域への思いについてお話を伺いました。

マメムギモリノナカ(宮城県伊具郡丸森町)

「マメムギモリノナカ」は、2019年8月、ミツロウラップの製造・販売を目的に設立。現在、山下さんは仙台市在住の友人と2人で、事業を展開しています。商品は、公式ショップの他、丸森物産いちば八雄館、仙台市内の百貨店や駅ビルなどで販売中。
URL:https://www.mamemugi-m.com/

自分の健康観を仕事で表現したいと思い、起業を決意

「マッサージやアロマテラピーなどを通じてお客さまにリラクゼーションや癒しを提供していくうちに、私の中で健康観が次第に変化していきました。私たちの健康は自然のサイクルと深い関わりがあることを実感し、もっと自然との調和を大切にした暮らしや仕事がしたいと思うようになりました」と話す山下さん。
こうした想いを後押ししたのが山下さんの趣味でした。「登山やアウトドアが好きで、よく、名もない山にふらっと出かけます。自然の中にいるだけでリフレッシュしていますね」。
そんな山下さんの想いを実現するきっかけとなったのが、丸森町の「まるまるまるもりプロジェクト」です。町外から移住し、地域資源を生かした起業にチャレンジしたいという人たちをサポートするもので、年代もさまざまな人たちが参加し、それぞれアイデアを発揮し始めていました。

丸森町の有形文化財「齋理屋敷(さいりやしき)」にあるコワーキングスペースにて。山下さんは2019年から、まるまるまるもりプロジェクトの一員として活動しています。

地域の課題と向き合い「ミツロウラップ」と出会う

「プロジェクトに参加し、まず最初に始めたのが地域資源の掘り起こしです。たくさんの人に会って話を聞きました。そこで出会ったのが移住者の先輩でもある石塚養蜂園さんでした」と山下さん。石塚養蜂園のハチミツは品質の良さから人気も高く、町の特産のひとつとなっていましたが課題もありました。ハチミツの副産物である「ミツロウ」の用途がなく、多くの在庫を抱えていたのです。
「その話を聞き『これだ!』と思いました。ミツロウはスキンケア用品にも使われる天然素材。最初はマッサージに使うクリームにしてはとも思いましたが、もっといい活用法はないかと探している中で目に止まったのがミツロウラップだったんです」。

「ミツロウラップに触れると、人の肌に馴染む感じがほっとするんです」と山下さん。

自然素材を扱うことの難しさと楽しさ

ミツロウラップは、コットン布に天然オイルと松やにを混ぜたミツロウを染み込ませて作ります。レシピはシンプルですが、それだけに加減が難しく、厚くコーティングすれば丈夫になりますが、食材や器などにフィットしません。さらに気温や湿度の変化によっても仕上がりが変わるので、最初の1年間は試行錯誤の連続だったそうです。もっとも苦労したのは素材となるミツロウとの関わり方でした。
「ミツロウはミツバチが巣を作るために花の蜜や花粉を食べて分泌するものなので、花の種類が変わると、ミツロウの色も変化します。当初はその色のばらつきが気になって統一して欲しいと石塚さんに無理を言ったこともありました」と山下さん。「自然との調和」を求めていたにも関わらず、工業製品に求めるようなオーダーをしていたことに気づき、そこからは自然ならではの違いを受け入れ、その持ち味を生かせるように、レシピに工夫を加えながら仕上げているそうです。

鍋で溶かしたミツロウを、手作業で布に染み込ませます。1日にできる量は、Sサイズ(18cm×18cm)で30〜40枚ほど。

こんなにたくさん!ミツロウラップの魅力

ミツロウラップは抗菌性、保湿性にも優れていることから、野菜などを包んでおけば鮮度を保つことができます。使用後も水洗いするだけで何度も使うことができるので、ゴミの減量にも役立ちます。
 「私は山登りに行く時にサンドイッチやおにぎりをサッと包んで持っていきます。何より折りたたんで小さくして持って帰れるので、アウトドアにぴったりです」。手で熱を加えるだけで形が自由に変えられることから、皿として使うシェフもいるそうです。

手の熱で温めると柔らかくなり、さまざまな食材にフィットします。

丸森町の自然を表現した心ときめくデザイン

山下さんが手掛けるミツロウラップは、デザインにもこだわりが感じられます。
「目にした時のトキメキって大切だなと思うんです。機能性はもちろんですが、心がワクワクするようなデザインだと手にとってみたくなるし、大切に使いたくなりますよね」と山下さん。
絵柄のモチーフは、木々や花、動物など丸森町の豊かな自然をイメージさせるものばかり。昨年は山元町の福祉作業所に通う障がい者の方とコラボレーションして、オリジナルデザインも開発しました。
「オリジナルの絵柄はまだ少ないので、これからもっと増やしていきたいですね。東北にゆかりのあるクリエイターとつながり、東北の魅力を発信できればと思います」。

人と自然との出会いを通してまちを元気に

古くから交通の要衝として栄えた丸森町は、人と人との交流を大切する町。
「丸森では、普段の生活の中で食べ物を持ち寄って集まってはバーベキューをしたり、焚き火をしながらおしゃべりしたりするのですが、いつの間にか私たちもその中に溶け込んでいたという感じ。それがとても自然で温かい町なんです」と山下さん。
丸森町は 2019年、台風による甚大な被害を受け、現在は復興の途中ですが、そこには人と人が寄り添い、助け合う風土があり、山下さんのような熱意とアイデアのある人たちを引きつける魅力があります。彼らはきっと丸森でそれぞれの力を発揮し、新しい風と活気をもたらしてくれることでしょう。

「最近は材料を大切に使い切るため、端材を活用した新しい取り組みを始めています」。と山下さん

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