食いしんぼレシピ
青森県むつ市
味と栄養バランスを考え種類豊かに!
坂本先生の化学的お弁当
今年の夏は暑さでぐったり。しかも新型コロナウイルスで、気づけば精神的な疲れを感じている方もいらっしゃるかもしれません。少しずつ秋の気配を感じるこの時期、冬に向けてしっかりと体調を整えておきたいところです。今回は、青森県むつ市で、地元の旬の食材と野菜をふんだんに使ったお弁当を35年以上作り続けてきた、坂本謙二さんを取材しました。元化学教諭ならではの視点で作られた疲れた体に効く、すぐに使えるお弁当の紹介です。たくさんのレシピを用意しましたので、自分の体調に合わせて選んでみてくださいね。
坂本先生のレシピは2回に渡ってご紹介します。
※フィトケミカル:野菜や果物など植物に含まれる化学成分。植物が紫外線や有害物質、害虫などから身を守るために作り出した色素や香り。例えば「アントシアニン」「カテキン」「リコピン」なども、フィトケミカルに含まれる。
坂本謙二さん
元青森県立田名部高等学校化学教諭。お弁当作り30年のキャリアを生かし、地元メディアに「地域の食材を使ったレシピ」を連載し活躍。定年退職後は、むつ市体育協会事務局長、青森COC推進機構むつブロックコーディネーターを経て、現在は弘前大学の非常勤講師として「地域活性化論」の授業を持つ。また、むつサテライトキャンパス事業「食育健康講座」のコーディネーターとして、日々下北の食を広めている。
坂本先生のお弁当は体にいいノウハウがたくさん!
食べることも料理することも大好きな先生が、お弁当作りをはじめたのは、結婚後のこと。メタボ防止とストレス解消が理由でした。
「料理は化学反応の連続です。調理法や食べ合わせを工夫すれば、食材のパワーは何倍にも増すんです」。お腹を満たすだけの食事ではなく、食材が持つ栄養を効果的に摂取するための工夫にもこだわりがあります。
今回は、2回に渡って、3つのお弁当を紹介します。
第1回は、坂本先生の母の味、卵とじご飯を主食にした、フィトケミカル(※)がいっぱいの野菜たっぷりお弁当。第2回は疲労回復効果がある「鶏むね肉の漬け焼き」や地元の「一球入魂かぼちゃコロッケ」を挟んだサンドイッチと、華やかな手毬寿司。これまでお弁当は自分なりに作ってきたけれど、よりブラッシュアップさせたい人にも参考になるお弁当です。
先生が大切にしているのは、旬の野菜や果物を意識して使うこと。「カラフルな色の野菜や果物を皮ごと摂るのが望ましいですね。色合いに気をつかえば、自然に栄養バランスがよくなるんですよ」。
植物が持つフィトケミカルが、免疫力の向上や老化抑制、肥満予防の手助けをしてくれるのだそう。
さらに、疲労回復や抗菌作用のあるにんにくやしょうがなどの香味野菜、腸活の助けになる発酵食品を組み合わせることで、より理想的な栄養バランスになります。「あとは、消化系に優しい塩分少なめの味付けにすることが大事です」。
もう悩まない!常備菜を上手に使って楽しく作る
35年間お弁当作りを続けられた極意は?の質問に、「それは、がんばらないこと。毎日のことだから、無理なく続けられることが大事です。そのために役立つのは『常備菜ですよ』」と坂本先生。
味付けして冷蔵した肉、茹でた鶏肉、ひじきなど乾物の煮物、フライやコロッケも多めに作り冷凍しておいたものなどがあれば、忙しい朝にも短時間でいつもの味が作れます。先生は、休日にまとめて作っておくそうです。
“おかずは数種類作らないと”と、思いがちですが「シンプルに2、3種類あれば十分応用できます。飽きないように味のバリエーションも考えてね」。しっかりした味、酸味、甘味を組み合わせ、ごまや赤じそふりかけ、山椒などで変化をつけるとマンネリにならずに食べられます。それでも面倒なときは、魚や肉を焼いてご飯にのせるだけ、にんじんやきゅうりなどをピーラーで削って食べるときにドレッシングをかけるだけ。「お弁当初心者は、ここからはじめるといいですね」。
好きなおかずを入れて、ふたを開けたらうれしくなる。自分のため、家族のため、喜んでくれる人のため、明日からさっそくお弁当を作ってみませんか?
第1回 ■坂本先生のお弁当その1■
「主食・主菜・副菜」は栄養のバランスを整えることに繋がります。
化学的根拠に基づいて考えられたおかずと、先生の高校時代に思いを馳せた「母の味が詰まったお弁当」。
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