いいモノアイコン

Iimono

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 メイン写真

花巻おもちゃ美術館

まだまだ寒さが続くこの季節、温かな屋内で過ごす時間も多いですよね。でも室内だと子どもたちの遊べるスペースは限られてしまうし、元気に走り回ることも難しい。
今回ご紹介する花巻おもちゃ美術館は、屋内でありながら、子どもたちが自由に遊べるおもちゃがたくさん詰まったおもちゃ箱。木のぬくもりと、想像力を掻き立てるおもちゃの数々に、地元・花巻の方々だけでなく県外からもたくさんの親子が訪れます。大人も魅了するおもちゃに囲まれた花巻おもちゃ美術館の「いいモノ語り」を取材しました。

※花巻おもちゃ美術館では、新型コロナ感染症対策として入館時の検温や遊具の消毒を行ない、お客さまにはマスクの着用をお願いしております。

全国5番目、民間企業が運営する初のおもちゃ美術館

今回、取材でお邪魔したのは、東京・沖縄・山口・秋田に次いで全国5館目となる体験型木育施設「花巻おもちゃ美術館」です。民間企業が運営する初のおもちゃ美術館として、令和2(2020)年7月、市内のマルカンビル2階にオープンして以来、県内外からたくさんの人たちが訪れています。おもちゃや家具、内装の細かいところまで、岩手県産のサクラやカエデ、ケヤキなど30種類以上の木材をふんだんに使用。エレベーターを降りるとすぐ、クラウドファウンディングでオープンを支えた方々の名前が「一口館長」として掲げられたサポーターズボードが出迎えてくれます。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

サポーターズボードには、支援された方々の名前が刻まれています。

老舗木材店による新たなるチャレンジ

花巻おもちゃ美術館が入居するマルカンビルといえば、長年花巻市民に親しまれてきた「マルカン大食堂」でおなじみ。昔ながらの味が楽しめるマルカンラーメンやナポリカツ、そして箸で食べる圧巻の10段巻きソフトクリームは、大人でも胸踊る一品です。2016年に一度は閉店したものの、地元の方々の協力で2017年2月に運営を再開。このとき運営を引き継いだのが、小友木材店の若き社長 小友康広さんが新たに立ち上げた株式会社上町家守舎でした。
「小友社長は新しいことにどんどん挑戦するタイプの方で、東京のおもちゃ美術館のことを知ったときにビジネスとしての可能性を見出したそうです」と教えてくれたのは、美術館の副館長 高橋佳苗さん。小友木材店に入社した直後から、美術館立ち上げに携わってきました。開館前は、マルカンビル1階にあった木育ひろばや、地元カーディーラーのキッズスペースでもスタッフとして定期的に活動してきました。今回は高橋さんに館内を案内していただきます。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

「毎日3人態勢でサポートしています。分からないことがあったら赤いエプロンを身に付けたスタッフにお声がけくださいね」と高橋さん。

子どもたちの感性を育むたくさんの「もり」

館内にはテーマが異なる10の「もり」があります。「おもちゃのもり」「グッド・トイのもり」「ゲームのもり」「ひっつきむしのもり」「マルカンビル大食堂のもり」「温泉街のもり」「秘湯のもり」「のりもののもり」「赤ちゃん木育のもり」「企画展示のもり」……この一つひとつの「もり」がみんなの遊び場です。
「おもちゃコンサルタントが選ぶ良質なおもちゃを100種類以上揃えた”グッド・トイのもり”や、岩手の森をイメージした白樺の木々の穴の中にひそむ虫を磁石で捕まえる”ひっつきむしのもり”は特に人気なんですよ」という高橋さんの言葉通り、案内していただいている間もしきりに子どもたちが走り回っていました。
グッド・トイは毎年全国から選ばれるので、1年ごとに入れ替えていく予定とのこと。グッド・トイ以外のほとんどのおもちゃは花巻おもちゃ美術館オリジナルで、岩手・花巻の文化や名物を模したおもちゃが多いのも特徴の一つになっています。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

館内には岩手県産のさまざまな種類の木を使った遊具やおもちゃでいっぱい。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

わんこそばのお椀の黒と赤を生かしたオセロ。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

花巻温泉郷をイメージした「秘湯のもり」。

岩手・花巻の景色と文化を再現したおもちゃたち

花巻市は、文豪・宮沢賢治のふるさと。そのため入り口を入ってすぐの「おもちゃのもり」には代表作『注文の多い料理店』のカラフルなオブジェが飾られ、2歳未満の子どもたち専用の「赤ちゃん木育のもり」には『銀河鉄道の夜』に登場する鉄道をモチーフにした大型遊具が設置されています。
「小友木材店はもともと、東北地方にある鉄道の枕木をつくっていた会社なので、その歴史もふまえ、床材の一部を枕木に見立てて配置しているんです」と、高橋さんが教えてくれました。
「温泉街のもり」にあるこまやけん玉、スマートボールには大人もついつい夢中になってしまいます。さらに注目は「マルカンビル大食堂のもり」。同ビルの6階で今も変わらない味を提供し続ける食堂を、木の家具やメニューで再現しています。「名物の10段巻きソフトクリームは一つひとつ積み重ねられるようになっていて、小学生の男の子が積み上げた55段が現在の最多積み上げ記録です」。記録を更新しようと、挑戦者が次々訪れます。
ほかにも「ゲームのもり」のわんこそばオセロや、花巻温泉郷をイメージした「秘湯のもり」、東和町の棚田を思わせる「しゅうかくのもり」など、花巻の景色や文化を彷彿させるものがたくさん。「おもちゃ」と「遊び」を通して郷土の魅力を伝えようとする心意気がそこかしこにあふれています。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

「ひっつきむしのもり」は白樺の穴の中に隠れた虫を探して磁石で捕まえます。明るさを落とし、照明の影で木漏れ日が差し込む森の中を演出。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

2歳児未満の子どもたちが使える「赤ちゃん木育のもり」には、分かりやすく使いやすいおもちゃが揃っています。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

「温泉街のもり」ではベイゴマ回しが得意なお年寄りも白熱。けん玉は樹種によって重さが異なるので、自分が使いやすいけん玉を探してみましょう。

人気や要望に応じて商品化されることも

子どもたちからの人気が高い「のりもののもり」には、岩手山をイメージした2つの滑り台と、花巻おもちゃ美術館オリジナルの「馬面電車※の乗用玩具」があります。「かつて花巻市内と花巻温泉をつないでいた花巻電鉄の車両がモチーフで、ここにしかない人気のおもちゃです」という高橋さん。完全受注生産による商品化が実現するほどの人気です。
「『だれがどすた? 木の絵本~花巻版~』や『まるかんびるしょうぎ』などは美術館の開館前からある小友木材店のオリジナルおもちゃですが、実際に見て、使っていただくことで、おもちゃの使い方や楽しさが伝わるので、買ってくださる方も多いんですよ」。美術館をショールームのように活用できるのも木材店ならではといえるかもしれません。

※馬面電車とは?
花巻電鉄のように車体の幅が狭く、前面がウマの顔のように見える車両のこと。鉄道ファンが親しみを込めて呼ぶようになったと言われています。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

馬面電車のおもちゃ。子どもには乗って楽しめるおもしろさを、大人にはちょっとした懐かしさを感じさせます。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

岩手県産の木が30種類以上使われている「のりもののもり」の床材。中には金色のウルシの板が一枚だけ隠されています。

「おもちゃ学芸員」がサポートします

遊び方が分からない。何で遊んだらいいか分からない。――そんなときに頼りになるのが「おもちゃ学芸員」です。
おもちゃ学芸員は、美術館にあるさまざまなおもちゃとお客様とをつなぐ架け橋となるボランティアスタッフのことで、現在は養成講座を受講した97名が、時間があるときに自由に手伝いに来るといいます。特に家族連れが増える週末は、館内のいたるところで子どもたちと遊んでいる姿が見られます。年代は20代から70代と幅広く、もちろんみなさん子ども好きばかり。お父さん・お母さんが安心して遊びを見守ることができます。
閉店したマルカンビル大食堂の厨房に再び火が入れられるようになり、以前と変わらないにぎわいを取り戻しても、マルカンビル前のアーケード街の店舗はほとんどシャッターが閉じられ、がらん、とした寂しさにあふれていたといいます。そんな中にできた花巻おもちゃ美術館は、地元の木材を使い、「遊び」を通して岩手の魅力を伝えることで、町に活気を取り戻す中心的な役割を担っていくことでしょう。

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

「世界で一番“カッコいい”木材店」がおくる 花巻の魅力を敷き詰めたおもちゃの美術館 写真

メニューやキッチン、客席など、本物さながらの「マルカンビル大食堂」では、子どもたちが積極的に接客を体験。

花巻おもちゃ美術館

花巻おもちゃ美術館は、東京おもちゃ美術館の総合監修のもと、「世界で一番“カッコいい”木材店」をめざす地元の老舗木材店「小友木材店」が設立・運営しています。姉妹おもちゃ美術館は、東京を含め、全国に4館あります。

岩手県花巻市上町6-2 マルカンビル2階

080-9257-7987

https://www.hanamaki-toymuseum.com/